2007-02-11

 

「ボクシングのエエところはな、鏡さえあれば練習できることだな」
会長はつねづね言っていました。

 

「目ができんうちはプロボクシングなんて見ちゃいかん
 みんなタツヨシやらハメドやら真似したがるけどよ
 タツヨシはアマチュア時代は基本がしっかりできたきれいなフォームやったんや
 素人がいきなり真似してもできるもんじゃない」

 

「それよりも横でやっとるやつのことを良く見るんだ」
大きな鏡に向かって、並んでシャドウをやっていると、
自分がものすごくヘタで、横にいる他のジム生がとても上手に見えます。

 

それはわかります、でも何が違うのか、どうすれば私も上手に打てるのか、
とにかく見ました、マネしました。

 

ガン見です。
あまり見すぎてみられてるほうは照れくさそうでした。

 

センパイとはいえ、大学生や20代前半、私より10歳以上も年下の人たちがほとんどでしたからね。

 

ただ、毎日のように来る人は居ませんでした。
所属人数もほんとうに少ないジム。

 

私ひとりきりの時もしょっちゅう。
そんなときは鏡に映る自分だけが練習相手でした。

 

自分が相手、ガードは下がっていないか、アゴは引いているか、すぐにパンチを戻しているか。
鏡はどれだけ見ても目をそらしたりしません。(笑)

 

良く見て良く見て、、、

 

少しずつ少しずつ、センパイたちの動きに近づいてきたころには冬になっていました。